シンプルなグラボブを切りました。
グラボブってシンプルだけど、結構難しいスタイルだと思っていて、【襟足の収まり】【ウェイトの高さ】【アウトライン】この辺をその人にジャストフィットさせないとキマらないスタイル。
美容師の国家試験課題にもなるくらい、スタンダードな技術だけど、未だに進化し続ける王道スタイル。
それにはちょっとした“理由“がありました。
少しだけ昔話にお付き合い下さい。
当時は空前の【カリスマ美容師ブーム】が巻き起こっており、テレビではあの名作【ビューティフルライフ】が大ヒット。
東京では、アクア、アピッシュ、ディメンション、などといった有名美容室の外にたくさんの美容学生が群がり、その技術に目を輝かせていました。
僕も美容師を夢見る思春期ボーイでして、東京に毎月のように通い、当時大好きだった【黒夢の清春】が通っていたサロン【ファッツベリー】で「ロックな感じで」という謎のオーダーをしていました。ははは。
そして、高2の夏休み。
僕は急に思い立ち「美容室でバイトしよう」と思った。
そう思ってからは早かった。
タウンページを開いて(まだ携帯で調べたりする時代じゃなかった)チャリンコでも通えそうな美容室に片っ端から電話をかけまくった。
「あの、未経験なんですが。ええ、はい。あ、高校生です・・・」
もう高校生の時点でだめだった。
今思えば当たり前だけど、未経験な上に高校生ですからね。そりゃ相手にもされませんよ。
加えて平日の夕方からしか出られないので。
「やっぱバイト無理か〜」
「火曜と金曜でられる?」
今までにない返しにビビりました。
「はい、でられます!」と即答。
その後面接して、採用となったのはそのお店は、今でもチェーン展開してる【サブリナフェアー】
当時の中高生は1度はいったことあるんじゃないかな(笑)
今はわからないけど、昔は火曜と金曜はカットが安い日だったので、かなり混み合ってたんですよね。
なので、バイトでも受付とか掃除とか結構やることあったんですよ。
そんなわけで、夢にまでみた美容師(の卵)としてデビューした高2の夏。
バイトではありましたが、夜残ってシャンプーを教えてくださったり、時には営業後ご飯に連れて行ってもらったりもした。
初めてできた【美容師の先輩】だった。
当時まだ20代だった稲葉さん。
今の俺より若かったとか信じられん(笑)
もっと社会人として大人に感じた。
“いつかこんな美容師になりたい“
そんな風に憧れた人をカットするなんてことになるとは・・・。
感無量です。
13年前、床はきしか出来なかった思春期ボーイにこんな日がくるなんて想像もしてなかった。
シンプルだからこそ奥が深いスタイル。
グラボブを切るのが、僕が【成長した証】を見せられると思ったから。
もう乾かすだけでこのフォルム。
13年やってきた俺の集大成。
どや!と言わんばかりのグラボブ。
きってる間はとにかく不思議な気分だった。
ただそこに【不安】とか【迷い】とかはなかった。
調子にのってるとかではなく、今までやってきたことに間違いはない自信はあったし、それを裏付ける練習もしてきたから。
逆に稲葉さんは不安だったかもしれないけど(笑)なんせ記憶はバイトのままでとまってるからね。
たまたまなんですが、子供の保育園が同じとこだったんですよ。
僕はすぐ気付いたのですが、正直声をかけようか迷いました〜。
覚えてるか心配だったので。
勇気をだして声をかけたら覚えててくれました。ほっ(笑)
子供が引き合わせた奇跡。
そう考えると13年の間に色々あったな〜(しみじみ)
高校卒業と同時に、しっかり基礎を学びたいと思い、市内の某美容室に就職するのですが、そこで出会ったのが現在ジールサロンの代表である宮本さんと、店長の岡野さん。
ま、それはまたのちにかこうと思いますが、本当に【ご縁】というものは科学では証明できない奇跡を起こしてくれます。
今の自分があるのも、こういった【人との出会い】あってものだし、それに対しての【感謝】を一時も忘れてはいけないと感じます。
【全ての出会いに感謝】
今回の13年ぶりの再会を経て感じた事をつらつらとかいてしまいました。
言ったことないけど「ラブ&ピース」なんかそんな気分(笑)
正直“辞めたい“なんて思った時もあったけど、こういう事があるから美容師は辞めらんないです。
1年2年で辞めちゃう若者にはこれだけは言いたい。
「続けてるといいことあるよ」
美容師という職に就いたことに誇りを持ち、今後の美容人生楽しみたいと思います。